こんなことを以前人から聞きました。ライザップなどでは、水分摂取を積極的に励行しているとのことです。
水を飲むことにより、ホルモン作用の変化など多少なりとも代謝変動はあるのですが、今回生体の調節機構は無視し、あくまで物理的なエネルギー収支のみに焦点を絞って考えてみたいと思います。



水の性質

 水は、その密度のほかに、比熱容量、すなわち物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量にも特徴があり、水の比熱容量は、他の物質より非常に大きい。
 例えば、水の比熱容量4,182J×kg-1×K-1は、エタノールの比熱容量2,418J×kg-1×K-1の約1.7倍であり、鉄の比熱容量452J×kg-1×K-1の約9倍である。
 よく「水は温まりにくく冷めにくい」と言われるが、これは、水の比熱容量が大きいため、温めるのには大きな熱量が必要となる一方で、いったん温まると熱量がある程度貯えられることによる。
 この大きな水の比熱容量を利用して、水(又は不凍液の水溶液)でエンジンを冷やしているのが水冷エンジンである。
 人の体温が、暑い夏でも急上昇することはないし、運動してもすぐに上がらないのは、体の中の60パーセント以上が水であるためである。
 また、水の気化熱は、2,257kJ×kg-1と、エタノールの838kJ×kg-1の約3倍近くあり、人が汗をかいて、汗が蒸発するときにこの大きな気化熱を奪うので、人の体温が調節されるのである。

すなわち水は温まりにくく、冷めにくい。そのため飲んだ水は体の中で温まるには大きなエネルギーが必要=減量に適していると言うことが根拠なのでしょう。

カロリーと水との関係

ちなみに、水の温度をあげるにはどれくらいのエネルギーが必要でしょうか。

小学生や中学生の理科でも習っていますが、1気圧の条件のもと1gの水を摂氏1℃上げるのに必要なエネルギーを1cal(カロリー)と言います。

管理栄養士管理栄養士

よく皆さんが耳にするカロリーとは、エネルギー単位のことなのです。

水を飲むとどれくらいエネルギー需要が高まるか

では、この考えをもとに、4リットルの水を15℃から36.5℃(体温)まで上げるのに必要なエネルギー(カロリー)はどれくらいか求めてみましょう
水は1ml=1gですので、

4000g×(36.5℃-15℃)=86000(cal)

kcalへと変換すると、86kcalです。

4ℓ/日の水分摂取は、卵一個分の減量効果がある

86kcalは、概算で
卵一個分=牛乳120ml=バナナ一個分=鶏胸肉70g=豚バラ肉30g
程度です。

1ヶ月(30日)で考えると2580kcal/月

4ℓ/日の水分摂取は1ヶ月で0.3kg程度の減量効果が見込める

言い換えると、おおよそ0.3kg程度/月の減量効果が見込めます。

15℃より冷たければもっと効果は大きくなり、温かければ効果はもっと少なくなると考えられます。

しかし過度な水分摂取は、水中毒や、体温低下によるその他有害事象を引き起こす可能性もあるのでくれぐれも注意して行う必要があります。

今回は単純にエネルギー収支の観点から考えてみただけのことであり、この減量法を推奨するわけではないので、ご了承ください。