なぜ男性は調理は苦手なのか

一般論として男性は女性と比較して調理が苦手な傾向にあります。

ひと昔前は「男は働き、女は家事をする」という考え方が一般的だったことより、高齢であればあるほど男性の料理下手は顕著です。
今は、料理をする男性は増加してきていると考えられますが、それでも女性と比較すると、個人的にはまだまだ少ないと感じています。

この点に関し私が考える最も大きな要因は、現在語られている調理法のメインストリームが実践主義であり、それが男性にとって調理を敷居の高いもの、あるいは興味を掻き立てる対象になりにくいものとしていることです。

男性は女性と比較し論理思考が得意な傾向があります。法則性や原理を把握し、応用していくことを好む男性的思考は、現在のメインストリームな調理法で語られる、醤油を小さじいっぱい入れて、みりんを一杯入れて〜という、「よくわからんけど経験的にこうなればこうなんやからごちゃごちゃ言わんととりあえずやっておきー」的な説明の仕方にはピンと来ないのです。こういう説明の仕方は、非常に実践的、女性的です。
そもそも近代において家庭調理の歴史は女性の歴史と言っても過言ではないので、一般的な料理解説の仕方が、こういったものとなるのは至極当然のことだと個人的に思っています。

では、男性的思考、論理的思考に沿った調理法の説明とはどうすれば良いのでしょうか。一つには原理・原則に則った説明であると考えられます。

人間の味覚から調味料をみる

人間の味覚は生理学的に5種類ある。 
①甘味 ②酸味 ③塩味 ④苦味 ⑤うま味  

①甘み:グルコースなど糖類
②酸味:食品中のpH
③塩味:食品中のNaCl
④苦味:シュウ酸など、無機物塩など
⑤うま味:グルタミン酸、イノシン酸などの特定のアミノ酸

上記5つより、味付けの原則は、糖分と塩分、pH、アミノ酸の調節具合と言えます。

ここでさらにまとめて見ましょう。

糖分:砂糖、みりん
塩分:醤油、味噌、食塩
pH:酢、ケチャップ
アミノ酸:昆布やカツオなどの出汁(味噌や醤油にもアミノ酸は含まれる)

その他調味料は全てこのカテゴリーのどれか、あるいは複数に当てはまります。(ソースは塩分にも、アミノ酸、pHにも影響を与える)

さて、ひとまずこの様にまとめたところで、人間が生理的に美味しいと考える配分はどれくらいかという検討をつける必要があります。
出来上がった料理はどれくらいの塩分濃度が、糖分濃度が、pHが、あるいはどの出汁の組み合わせが美味しいかを考えるのです。

参考:
ラーメンはなぜ旨いのか

塩分に着目する

塩には潮解性という水分を引きつける性質があることより、過剰に塩分を摂取すれば、喉が乾き水分を欲することや、ご飯が過剰に進み、結果的に多く摂取してしまうことは経験的にご存知であると思います。人間の体液は0.9%(NaCl濃度)であることより、体に入ってくる食事総量の塩分濃度が0.9%となる様に調節されており、それが一番快適に、すなわち美味しく感じる様にできているのです。
したがって、まず塩分濃度0.9%をキーワードとして覚えておくことが役に立ちます。もちろん全ての料理を塩分濃度0.9%にしてしまうと味がぼやけてしまうため、メリハリをつける必要があります。(酢の物などあると料理に締まりが出る理由はこういうところにもありそうです。)

まとめ

最終的に料理の塩分濃度の平均値を0.9%とするには、無塩のご飯の量を考慮しても、1.0を基準に3%以内程度となる様に味付けをしていくと良さそうです。

調理の塩分パーセント=(調味料の中の塩分量/材料重量)✖︎100

まずは、料理本を見るにしても、クックパッドを見るにしても、その料理の塩分濃度がいくつであるか、着目してみて下さい。
重ね重ね言いますが、男性はまず原理原則をしっかり抑えることです。
ここが男性にとって料理の基礎となるところです。

糖分の話は次回に。