研究職の管理栄養士

大学などの研究職に就く管理栄養士は、栄養学およびその周辺領域に関わる分野(保健・医療・福祉・介護・スポーツ)に関する研究を行います。

ここでは研究職業務に従事する管理栄養士について紹介していきます。

研究の大切さ

管理栄養士業務の価値証明

研究がなぜ必要かというと、人々の健康づくりや疾病予防に直接役に立つからでなく、管理栄養士自体の地位向上にも貢献することに繋がることもあるからです。例えば、管理栄養士の業務が、社会的に意義があるということが客観的指標をもって世間に認められれば、企業や組織が積極的に管理栄養士を雇いたいと考えるようになります。

診療報酬増額へ繋がる可能性

また医療の分野において、管理栄養士の介入によって良好なアウトカムにつながる(患者の治療成績が良好になる)ということが客観的に証明されれば、それが診療報酬の算定の増額に繋がるわけです。
また新しい栄養療法や栄養剤などが作られれば、それは医療介護福祉分野のみならず、一般社会においても役に立つわけです。

これらいずれにおいても、科学的な技法が必要であり、そういった科学的技法を用いて、新たな事柄の探求をしていくことがいわゆる研究職の重要な職務の一つです。

主な職場

  1. 大学の研究室や公的研究機関
  2. 民間企業の研究部門
    ・食品メーカー
    ・食品会社
    ・外食産業
    ・医薬品メーカー
    ・化粧品メーカー

大学の研究室や公的研究機関

栄養士や管理栄養士の養成施設である大学などに籍を置き、そこで自分の研究テーマを持ち、研究しながら教育に携わることが多いです。また公的研究期間では、研究チームの一員となり、社会的に必要な研究を行っていきます。

大学の研究室などの教育機関で仕事をするケースでは、養成施設に在籍する学生を対象に、栄養士や管理栄養士になるために必要な学科の講義と実習指導を行います。基礎栄養学や臨床栄養学、公衆栄養学などの講義、実習・実験の指導もします。
また管理栄養士養成校だけでなく、調理学校や他コメディカル養成校や、看護学校など栄養学の知識が必要な専門職の養成機関で講義を行うこともあります。

基本的に研究員兼教員(いわゆる教授、准教授、講師など)として社会に役立つ研究をし、それと同時に優秀な人材を育成することが職務となります。学内外だけでなく、国や地域、学外施設などの関連機関との連携による地域への貢献活動を行うケースもあります。

民間企業の研究部門

食品メーカーや食品会社などの企業では、食品や栄養に関する研究を行い、新製品や機能性食品などの企画・開発・生産に携わります。

健康志向が高まる昨今、健康増進に役立つ商品へのニーズにがあり、食と健康に関する専門知識を持ち、高度な研究能力を併せ持った管理栄養士の視点が求められているのです。

民間企業の研究部門で働く管理栄養士の仕事内容として以下があります。

  • 原材料の機能分析
  • 品質管理
  • 衛生管理、衛生指導
  • 商品企画書の作成
  • 栄養成分表示の作成
  • 食品の安全性を証明するエビデンスの資料作り

多種多様ある仕事内容の中でも、商品開発や新製品の開発の仕事は人気が高いです。
また、大学や公的研究機関とコラボレーションを行い、商品開発に応用したりするケースもあります。

研究機関で働く栄養士の給与・待遇

研究機関で働く場合、年収400万円~800 万円ほどが目安だとされています。もちろん、業績や経験、勤務先によって、これを大きく上回る場合もあります。また交通費支給、セミナー参加費の補助、書籍の購入補助、試食会の実施などを設けている企業もあります。

教育機関で働く栄養士の給与・待遇

教育職として働く場合は、一般的に実績(学術活動や、経験)に基づき、各教育機関の規定に基づいて給与が決められます。。

研究・教育機関で働く栄養士や管理栄養士に必要な学歴とスキルとは?

研究機関や教育機関で働くにあたって、どのようなスキルが必要になるのか見てみましょう。共通するものとして、どちらで働くにしても修士以上の学位は必要となります。

研究機関

大学や公的研究機関および企業などの研究職として働くためには、まず大学院の課程を修了し、修士以上の学位を取得していることが求められます。
また、食品学や生化学などの知識をはじめ、衛生管理の知識や研究用の専門機器の操作を正確に行えるテクニカルスキルも不可欠です。
食品会社やメーカーで働く場合は、食品科学や工業化学、バイオテクノロジーなどの分野の知識も必要になります。
そのほか研究開発を担うためには、根気強く責任感を持ってやり遂げる力や、自ら考えて行動できる積極性、好奇心旺盛で食の流行を敏感に感じ取る力などを持っていることも大切な要素です。

教育機関

教育機関で働くためには、大学院の課程を修了し、修士以上の学位を取得していることが求められます。また「担当授業科目の専門知識とプレゼンテーションスキル」「情報収集能力」そして「次代を担う優秀な栄養士・管理栄養士を養成し、社会に貢献したいという情熱」といった高い教育能力と熱意が必要になります。
また、学生やその保護者のほか、同僚となる教員や関係機関のスタッフなど多くの人と関わる仕事なので、コミュニケーションスキルも欠かせません。

研究者を目指せる大学

👉徳島大学お茶の水女子大学奈良女子大学

上の3つの国立大学は、歴史も古く多くの研究者を輩出しており、おすすめです。

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