人体の構成元素ってなに?

管理栄養士管理栄養士

物質をこれ以上分けることのできない単位のことを元素と言います。人間は以下の元素から出来ています。

・多量元素(ヒトの体内に1%以上含まれる)
:O, C, H, N, Ca, P

・少量元素(ヒトの体内に0.1%以上含まれる)
:K, S, Na, Cl, Mg

・必須微量元素(1〜10mg/体重1kg含まれる)
:Mn, Cu, Zn, Sn, Fe, F, Si

・必須超微量元素(1mg/体重1kg未満)
:Cr, As, V, Se, Co, I, Ni, Mo

若者男性 健全

なるほど。僕らがこれで構成されているということは、この物質を食事で摂取しなくてはいけないということなんですね。

管理栄養士管理栄養士

お、鋭いですね!その通りです。国の摂取基準に示されている特に重要な8種類の微量元素(鉄、亜鉛、銅、クロム、モリブデン、マンガン、セレン、ヨウ素の8種類)を紹介しようと思います。

鉄とは

鉄はからだの中に約3gあるといわれています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な役割を果たしています。

食品中に含まれる鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄とに分けられます。たんぱく質と結合しているヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。ヘム鉄以外の無機鉄を非ヘム鉄と言い、こちらは植物性食品に多く含まれています。
鉄の吸収率は15%程度と言われています。

管理栄養士管理栄養士

ヘム鉄の効率の摂り方は赤身の肉や貝類などを摂取することです。

亜鉛

亜鉛は成人の体内に約2g含まれます。成人ではそのほとんどは筋肉と骨中に含まれますが、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器に存在し、さまざまな酵素の構成要素となっています。

亜鉛は数百におよぶ酵素たんぱく質の構成要素として、さまざまな生体内の反応に関与しています。アミノ酸からのたんぱく質の再合成、DNAの合成にも必要なので、胎児や乳児の発育や生命維持に非常に重要な役割を果たしているほか、骨の成長や肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓、精子を作っている睾丸など、新しい細胞が作られる組織や器官では必須のミネラルです。また、体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分であるほか、味覚を感じる味蕾細胞や免疫反応にも関与しています。

管理栄養士管理栄養士

糖尿病患者に、亜鉛のサプリメントを与えた研究の結果、亜鉛サプリメントの摂取は、空腹時血糖値の低値と関連が認められたことが報告されています。


亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長障害が起こります。また、亜鉛は味を感じる味蕾細胞の産生に必須であるため、亜鉛不足になると味を感じにくくなる味覚障害になる可能性があります。そのほかに、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。

 植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸(穀類、豆類に多い)などは、亜鉛の吸収を妨げます。また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になる場合もありますので、特定の食品に偏った食事をしないよう注意が必要です。

近年、若い世代での、食生活の乱れによる亜鉛欠乏により、味覚障害を訴える人が増えてきています。そのほか、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。

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亜鉛は、魚介類、肉類、海藻、野菜、豆類、種実類に多く含まれます。特にカキ(牡蠣)には100gあたり13.2mgと多く含まれるほか、うなぎの蒲焼100g(1串)には2.7mg、豚・肝臓生100gあたり6.9mgと魚介類や肉類のほうが多く含まれています。

若者男性 健全

亜鉛はサプリメントでとっていいんですか。摂りすぎとはよくないのかな?

管理栄養士管理栄養士

サプリメントの不適切な利用などによる、亜鉛の過剰摂取により、銅の吸収阻害による銅欠乏、吐き気、嘔吐腎障害、免疫障害、上腹部痛、消化管過敏症、HDLコレステロールの低下、低銅血症、下痢などのおそれがあります。

銅は成人の体内に約70から100mg含まれます。骨、骨格筋に約50%、肝臓中に約10%存在するほか、血液、脳などに存在しています。

銅は腸管から吸収されたのち、肝臓へ送られた後、アポセルロプラスミンというたんぱく質と結合して、セルロプラスミンの形で、全身に運ばれ、約10種類の酵素の活性中心に結合して、生体内で様々な働きをします。

 また、このセルロプラスミンはヘモグロビン合成に必須の酵素ですので、貧血予防に欠かせないミネラルです。また、マクロファージなどの免疫細胞のエネルギー代謝にかかわるチトクロムCオキシダーゼという酵素の構成成分であるため、免疫力を高める効果もあるほか、赤血球中の、SOD酵素(スーパーオキシドディスムターゼ、活性酸素を消去する酵素)にも含まれているため、動脈硬化の予防にも効果があります。エネルギー生成や鉄代謝、活性酸素除去などの他、細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生などにも関与しています。

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イカやタコ、そのほか、魚介類、豆類に多く含まれています。通常では、欠乏を起こすことはないと言われています。

モリブデン

モリブデンは肝臓や腎臓、皮膚などに存在していて、たんぱく質や鉄の代謝に関与しています。
モリブデンが不足すると神経障害、成長障害を起こすと言われています。また、モリブデンは尿酸の合成を助けるために、過剰に摂取すると血中の尿酸濃度が上昇し、痛風様症状が現れます。

管理栄養士管理栄養士

通常の食事では、欠乏症や過剰症を起こす心配はありません。

マンガン

マンガンは成人体内に約10mgしか含まれていませんが、肝臓、膵臓、腎臓、毛髪などに存在しています。骨の発育に重要なミネラルであるほか、糖脂質代謝、運動機能、皮膚代謝などの多くの酵素反応に関与しています。

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マンガンが不足すると骨の成長不良、生殖能力の低下などを起こすと考えられていますが、ヒトでの報告はありません

セレン

セレンは肝臓や腎臓に含まれ、抗酸化作用で組織細胞の酸化を防いでいます。主に、胃、下垂体、肝臓に含まれています。

セレン欠乏として、克山病(心筋症の一種)やカシン・ベック病(骨関節症)が知られています。また、過剰に摂取すると、爪の変形や脱毛が起こることがあります。

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セレンは魚介類や、肉類、卵に多く含まれます。病院の栄養管理、特に口から食事が食べられなくて、静脈栄養(注射にて栄養が投与されている場合)に欠乏が見られるという報告があります。臨床上は非常に重要なミネラルとなります。

ヨウ素

ヨウ素は成人の生体内に約10mg含まれ、甲状腺ホルモン(トリヨードチロニン、チロキシン)の主成分です。甲状腺ホルモンのおもな生理作用は基礎代謝の促進であり、たんぱく質合成の促進や脂質代謝にも関与しています。また、成長ホルモンなどと関連し、成長を促進します。

ヨウ素は欠乏すると、発育不全や甲状腺の機能低下が起こります。また、とりすぎても不足しても甲状腺腫(こうじょうせんしゅ:甲状腺にできる良性の腫瘍)になります。

管理栄養士管理栄養士

ヨウ素は海藻類や魚介類などの海産物に多く含まれますので、これらを多く摂取する日本人には欠乏症がほとんどみられません。

クロム

クロムはすべての細胞に含まれ、炭水化物や脂質の代謝を助ける重要なミネラルです。糖尿病、高脂血症、動脈硬化などの、生活習慣病予防に効果があると期待されています。

クロムが欠乏すると、インスリン作用が低下し、耐糖能も低下すると考えられています。

管理栄養士管理栄養士

クロムは海藻類に多く含まれます。また、魚介類、肉類、卵、穀類などにも多く含まれます。

上記の微量元素は、病院の栄養管理上は非常に重要なものですが、基本的に極端な隔たりのない食事をしていれば、過剰症や欠乏症になることは少ないです。